坂尻佳恵は、1976年愛媛県生まれ。
大阪芸術大学を卒業し、2012年ごろから廃屋を描き始めていましたが、
やがて廃屋から剥がされた板戸やふすま、障子枠などに直接絵を描き始めました。
それは東日本大震災の影響もあり、
人の営みの痕跡に寄り添う気持ちがわいたからだといいます。
上野の森美術館での「日本の美術展」では審査員特別賞、
またタガワアートビエンナーレ「英展」入選などの実力をもち、
作品には爽快感ともいうべき説得性があります。
2017年より北杜市小淵沢町に住み、
思春期のふたりの子供を育てるなかで、
親の目からみた彼らの自立へのエネルギーを描いたのが今回の作品です。
廃材を譲り受けてまず洗います。
それでも落ちない汚れが存在しますが、
それこそ歴史の一部だと捉え、ありのままの画面に描きました。
時に廃材の汚れは絵の具をまだらに弾くので、均一に描けません。
その分の苦労もありますが、そのものの味に助けられたり、
より深みを追求できる素材に魅了されました。
すでにある記憶と対話するように描く心地です。
また、廃材というのは、もう捨てられるものでもあり、
くすぶっている命を拾ってみたいという気持ちもあります。
2021年6月5日(土)~21日(月)
毎週土・日・月 12時~17時のみ開廊
408-0016
北杜市高根町上黒澤1706-3